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 大学のころにテスト前にノートを借りたり、何度か家にお邪魔したことがあるくらいには仲が良かった友人が、風の噂で変な団体に入ったらしいと聞いた。

 
 卒業後彼が大学院に進学したのは知っている。名前を検索すると、進学先の院で書いた修士論文は研究科の優秀賞をとったそうだ。真面目にこつこつ努力しながらも、訳あって大学の研究室では思ったような実験ができなかった彼は、大学院でその無念を晴らしたのだ。
 
 ところが就職活動が難航したのだろう。卒業後、件の変な団体に入ったそうだ。変な団体とは言っても、そこまでうさんくさくはない、しかし大多数の人にとってはあまりお近づきにはなりたくないな、というところだとホームページを見た限り感じた。自己啓発系のところだ。そこでは様々な人を講師に招いたり、イベントを開いたりして、メンバーがかわるがわる講演やイベントの感想をブログに載せている。だいたいみんな、気づきというフレーズを連呼している。あるイベントの後、ブログで彼は、ほとんど接点のないような人との関わりを、長く付き合う関係に変える大切さに気づいたと説いていた。
 
 その後彼がどういう道を歩んでいるかはわからない。ある時期に団体から離脱したと考えている。ブログでは大げさな表現が目立っていた。大したことではない事に感嘆してみせていた。しかし大した事ではないことなんて気づくまでもなく彼にも当然にわかっていただろう。白々しく物悲しかった。